不動産において、見えるものから見えないものまでさまざまな不具合や欠陥のことを「瑕疵」といい、瑕疵のある不動産の売却では売主にこれらを告知する義務があります。
なかでも精神的に抵抗感のある瑕疵を心理的瑕疵といいます。
今回は、不動産売却を行うときには心理的瑕疵はどのように扱えばいいのか、詳しく解説していきますので見ていきましょう。
不動産売却での心理的瑕疵とは?環境的瑕疵との違い
瑕疵とは、傷や欠陥、不具合のことであり、法律に当てはめると一般的に備わっている機能が備わっていない状態を指します。
瑕疵にはいくつかの種類があり、その1つが心理的瑕疵です。
心理的瑕疵物件は、心理的に抵抗を覚える事情を抱える物件のことで、たとえば、自殺や他殺などの現場となったいわゆる事故物件と呼ばれるものが心理的瑕疵物件にあたります。
また、環境的瑕疵も瑕疵のひとつです。
環境的瑕疵とは、不動産物件の周辺に問題がある状態を言います。
たとえば、周囲に騒音、振動、悪臭、周囲に嫌悪施設があるといった状態です。
「不快に感じる」ことが問題になっているという点で、心理的瑕疵には環境的瑕疵との違いはないように思われますが、心理的瑕疵は物件そのものにおける問題であるのに対し、環境的瑕疵は物件の周辺に問題があることになります。
不動産売却では心理的瑕疵に告知義務が発生する
不動産売却では、売主は物件の瑕疵について契約書に記載して買主に知らせなければならない義務があり、これを告知義務と言います。
もしも瑕疵がありながら、契約書に記載しないなど隠した場合は、売主は契約不適合責任を問われることになります。
これは心理的瑕疵の場合でも同様です。
そして契約不適合責任が発生すれば、不動産の買主は売主に対して、売却額減額請求、契約解除、損害賠償請求を行えます。
また、心理的瑕疵になるかどうかに明確な基準はなく、事件性のない自然死で死後すぐに発見されたケースなどでは告知義務はないとされています。
いつまで告知が必要か、というのも気になるところですが、これも法的な基準はなく、売買では6年ほどは告知義務が発生すると考えられているようです。
ただし、法律で決められているわけではないため、売主として防げるトラブルを防ぎたいなら、知っている瑕疵は包み隠さず契約書に書くべきでしょう。